最悪から最愛へ
峻は、渚の右手を握る。嬉しいと渚に言われてますます愛しくなる。それに、握った手は振り払われることがないから受け入れてもらっていると解釈をする。多分間違いではない解釈だ。

渚は好みの手に握られ鼓動を早くしていた。峻を見れば、目が合う。


「一生、守るよ」


プロポーズにもなる言葉だ。もう迷うことはない。躊躇うこともない。守ってくれるこの手の温もりもずっと感じていたい。渚の心は決まった。


「はい。ずっと守ってください。よろしくお願いします」


「うん。こちらこそ」


近付く顔に渚は目を閉じる。唇にも温もりを感じる。その温もりは徐々に熱を持つ。

エンジンはまだかけていない車内。窓だけ開いていて、時折涼しい風か入っていた。しかし、涼しさを感じられなくなるくらい二人の温度は上がっていく。


「ふう、さすがにここでするわけに行かないから、うちに行こう」
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