最悪から最愛へ
峻は休みだったけど、渚は出勤しなければならない。遅番の日だったのが、幸いだが、時間は10時を過ぎていた。


「え?もうそんな時間?帰らないと」


何の準備もしないで、泊まってしまったから帰らないと身支度が出来ない。


「送るよ」


「ありがとうございます。店長は休みでしたよね?」


いままでは峻が休みだと嬉しかったけど、今日はなんだか寂しい気分だ。


「渚、仕事以外では峻と呼べって、言ったよな?」


「あ…そうだった」


「寝て起きると忘れるのか?」


「あー、そうかも」


忘れていたつもりはないけれど、無意識に出てしまうから意識して呼ばないとならない。

渚は服を着ながら、峻、峻、峻と名前を頭の中で繰り返していた。


「峻は、今日何するの?」


「録りだめしてあるドラマとか見てるよ。帰り、迎えに行こうか?」


「でも、今日遅番だから遅いし。明日、峻は早番でしょ?」
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