最悪から最愛へ
「ただいま。レモン買ってきたよ」


「おかえりなさい。ありがとうございます。もう少しで出来るから、待ってて」


峻は、渚にレモンを渡してから、洗面所で手と顔を洗う。

その間に渚は出来上がった料理を並べた。揚げたての唐揚げに峻が買ってきたレモンをくし切りにして、添えた。


「おー、うまそう。ビール飲もうかな。渚も飲むだろ?」


「はい」


峻が冷蔵庫からビールを出すと、渚が棚からグラスを出す。二人の呼吸が合う。長年の夫婦のようだ。


「うん、うまい!」


「本当?良かったー」


渚はひと通りの料理は出来るが、一人分だけだと作らないことのほうが多かった。食べてくれる人がいると作るのも楽しくなる。


「フフフッ」


「何笑ってる?」


「なんか楽しいなーと思って。今日、忙しくなかった❓変わったことあった?」


仕事の話が出てしまうのは、同じ職場ならではだ。


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