最悪から最愛へ
「楽しみだなー」


何を買うのかは言わないが、峻はとても楽しそうにしている。楽しそうな峻を見て、渚も何を買うか分からない金曜日が楽しみになった。


「うん、楽しみだねー」


楽しみにしている金曜日、また春佳がやって来た。日をあまりあけないで来ることは、問題がない限りないことだ。

店自体としての問題はない。春佳の目的は峻だから。


「お疲れさまです。この前来たばかりなのに珍しいですね」


出入口近くで本日の売り出し商品であるじゃがいもが残り少なくなっていたので、小田が補充していた。小田は春佳の目的が峻であることを感じたが、敢えて言わない。

やっと付き合い始めたばかりの二人を邪魔して欲しくはないが、小田が口出しすることではない。きっと峻本人がなんとかするだろうと考える。


「ええ、ちょっと気になることかあって。店長はいるかしら?」


「多分、事務室にいると思いますよ」
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