最悪から最愛へ
「うちの近所のおばさま達にだよ。今度の店長さんは、男前だって」


「あの人が、男前?あー、あの見た目で女を騙すのね」


前の店長は、優しい人だったけど、男前という言葉は似合わなかった。だからといって、峻が男前だなんて…客を騙すような人が人気なのは、納得いかないと思う渚だった。


「騙すって、店長さんは何も悪いことしてないわよ。みんな見たまま、爽やかで良い人だって言ってるし、私もそう思うよ」


「あれが爽やか?あれ、きっと本性を隠しているんだよ」


何を聞いても納得出来ない渚は、上司を「あれ」呼ばわりする。峻が聞いていたら、間違いなく説教されるだろう。


江梨子は荷物を運んでくれる渚を頼りにして、バスケットの中をいっぱいにした。マイ
バスケットに入りきらない分は店にある段ボール箱に入れる。


「随分と買い込んだね」


「うん。これで、最低でも3日は買い物しなくても大丈夫。助かったわ」
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