最悪から最愛へ
しつこく詮索するつもりはないが、何の話をしたのか気になる。

峻は、スーツを脱ぎながら答える。


「ああ、特に用がないと言うから二度と誘うなって、言ってきた」


「え?二度と?」


「うん。渚だっていい思いしないだろ?俺だって、渚と一緒にいるほうが何倍もいいしね」


二度ととは、言い過ぎではないかと思ったが、渚を一番に考えてくれるその気持ちが嬉しくなった。着替えが終わった峻に後ろから抱きつく。抱きつかれた峻は渚の手をギュッと握る。


「うん、ありがとう。峻…清水マネージャーと付き合っていたの?」


話題にはしたくないが、確認しておきたい。今後、春佳が店に来たときの心構えが出来るから。


「ん、2年前かな。1年くらい付き合った。もう過去のことだよ」


「何で別れたの?」


知りたいことはこれで終わりだ。知って、すっきりして峻と向き合いたい。




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