最悪から最愛へ
「性格の不一致だよ。考え方とか根本的に合わなくてね。譲り合う気持ちもないし、それにあっちが浮気したからそれが決定的になった。そのことについて責めはしなかったけど、これで別れられると安心したのが本音だったな」


誤魔化す答えはしない。渚が知りたいと思うこと、不安に思っていることはすべてありのままに答えたい。誠実に思っていることを伝えたい。


「他に知りたいことがあったら、何でも言って。答えるから」


過去のことは過去。現在進行形でないのないのなら、深く考えない。渚にも、過去の恋愛はある。隠すつもりはないけど、詮索され過ぎると面倒になると思う。それはきっと峻だって同じはず。


「もうない。ちゃんと答えてくれてありがとう。そろそろカレーが出来るから待ってて」


「うん、スプーン並べるよ。福神漬けある?」


「もちろん」

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