最悪から最愛へ
「いるものがあったら、いつでも連絡して。帰りにでも届けるから」


持つべきものは、頼りになる優しい友だ。


「うん。ありがとう!渚、優しい!その優しさを店長さんにも見せたらいいのに」


「まだそんなことを言うの?あれとは、絶対に合わないし、優しくなんてしようと思わないよ」


「ふーん。あれとは、俺のことか?」


買い物したものをカートに乗せて、出ようとしていたところ、背後から低い声が聞こえた。渚は、その声に飛び上がりそうなくらいびっくりした。


「うわっ!なんですか?盗み聞きですか?」


「かなりの荷物だから、手伝おうと思ったんだけど」


「まあー、すいません。助かります!ありがとうございます」


「いえ、結構です。このくらい私1人でも積めますから」


甘い声でお礼を言う江梨子と正反対に、冷たい声で渚はきっぱり断った。
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