最悪から最愛へ
引き立て役の男なんて服装にこだわることはない。女のほうが大事だ。渚がドレスを着て、笑顔になってくれたら峻だって嬉しい。渚を喜ばせて、幸せを感じたい。幸せな式にしたい。

峻の気持ちが渚のためにと変わる。そうなると神前にこだわっていたのが馬鹿らしくなってくる。教会式でもいいかな…


「まあ、一生に一度のことだから、よく考えた方がいいけど、そんなことで喧嘩してないで早く仲直りしなさいよ。渚ちゃんを泣かせないのよ」


「うん」


泣き顔は見たくない。いつでも笑顔が見たい。最愛の君を笑顔にさせるのは俺の役目だ。最愛の君を幸せにするのも俺の役目だ。

渚が幸せになれば、自分も幸せになれる。



「ただいまー」


「おかえりなさい」


「おー、おかえり」


実家に帰った渚はリビングで父親と向かい合って座る。母親は渚の隣に座った。


「どう?変わりない?」


「特に変わりはないけど」

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