最悪から最愛へ
「やっぱりかわいくないな。モテないぞ」


「フン。余計なお世話です」


「紺野…」


「あ!」


つい出てしまった「フン」に怖い顔した峻を見て、渚は口を押さえる。

言ってしまった後に押さえても、言った言葉が口の中には戻らないのは分かっているけど、押さえるしか術がない。逃げよう。


ゴン…逃げるのに間に合わなかった。


「イタッ!」


峻はゲンコツを渚の頭に落とした。


「やっぱりお前、言葉遣いが悪い。客にもそういうの出てしまうぞ。気をつけろよ」


「そんなこと、お客さんには言いません。他の人にだって、言いません」


渚は、ゲンコツが落ちた部分をさすりながら、抗議する。


「何だよ、それ。俺限定っていうわけか?」


「そうです」


「ほんと、いい根性してるな」


「なぎさー、ちゃんと謝りなさいよ」


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