最悪から最愛へ
「言い合うんじゃなくて、考えようよ」


「うん。そうだね。バームクーヘン食べようか。コーヒー入れるよ」


「ありがとう」


峻がコーヒーを入れる間、渚は皿にカットしたバームクーヘンをのせる。

こういう時の二人は息が合う。どちらかが何かを始めるとどちらかもそれに応じて動く。


「渚、ウェディングドレスを着ろよ」


「え?…まさか、峻は、袴を履くの?」


お互いにそれぞれ着たいものを着るというのだろうか。いくらなんでも、それはちぐはぐでおかしい。


「バカ。違うよ。俺はタキシードを着るよ。渚のやりたい教会でやろう」


「本当に?本当にいいの?でも、峻は袴を履きたいんでしょ?」


「うん。そっちは、写真でいいよ。写真だけでも撮らせてくれる?」


「うん。もちろんいいけど、本当にいいの?」


数時間離れただけで、峻の考えが変わるなんて驚きだ。
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