最悪から最愛へ
「何でってさ…仲直りしたいなと思ってね」


「うん…私も思ってた」


渚は峻の腕を緩めて、腕の中でくるりと向き合う。


「姉貴に言われたんだよ。好きな女の夢を叶えてやれない男は最低で、離婚されるって」


「そんな…最低だなんて。離婚なんて…」


そこまでは思っていない。分からず屋で、結婚を早まったかもとは思ったけど。

峻がちゃんと好きで結婚を決めた。ずっと一緒にいたいと思ったから、結婚を承諾した。意見が合わないくらいで離婚はしたくない。

意見が合わなかったら、話し合えばいい。二人で解決すればいい。


「俺さ、本当に渚が好きなんだよ。絶対に別れたくない」


「それは私も同じだよ。何があっても峻が好き」


この先、何十年も一緒にいたら、喧嘩だって数えないくらいするだろう。でも、それ以上に幸せなことを数えないほどあるはず。

どんなときでも離れることなくすぐ近くで感じていたい。夫婦という絆を絶対のものにしたい。
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