最悪から最愛へ
「紺野。佐藤が困っているじゃないか。とりあえず、向こうで飲み直さない?」


渚と峻を一旦離した方がいいと思った小田も仲介に入った。


「小田くん…うん。あっちに行く…」


小田に手を引かれて、奥のテーブルへと移動した。同期の小田の前だと素直になれる渚である。佐藤はまだ戸惑っていたが、隣のテーブルのアルバイトの女性に呼ばれて、そっちへ行く。


「店長。こういう場で空気を悪くしてはだめですよ」


ポツンと残った峻の横に佐和子が座る。


「悪い、つい…。俺も飲み過ぎたかな」


佐和子の言葉に今の状況を冷静に判断した峻は、肩を落として反省する。

確かに峻もかなりの量を飲んでいるので、渚に絡んでしまったのは、酔っているせいかもしれない。


「紺野チーフは、店長が思うほどひねくれていないですよ。ちゃんとみんなに気配りもで出来るし、みんなからの信頼もありますからね」
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