最悪から最愛へ
この歓送迎会の場で注目の的となった元の原因は、大きい声でアプローチした佐藤だ。渚は、まだみんなにお酌している佐藤を見た。


「んー、後輩としか見たことなかったし、これからも後輩としか見れない気がするんだよねー」


「なるほど。じゃ、俺は?」


小田は渚に顔を近付けて、ニヤリと笑う。


「は?小田くんは、同期で友だちでしょ?」


「俺にも興味がないってことね」


「だって、奈緒がいるじゃないのよ。もしかして‥奈緒と何かあった?」


小田には、2年付き合っている恋人がいる。渚と小田のやっぱり同期で、他店に勤務している。


「いや、何もないよ。至って順調だし、来月挨拶に行く予定」


「え?とうとう?」


「うん。俺らもいい年だしね」


「わー、おめでとう!」


友だちからの結婚の報告は嬉しい。渚は心から祝福する。
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