最悪から最愛へ
でも、同い年の友だちが結婚するのに良い年なら、渚にとっても良い年だ。もう半分以上の友だちが結婚しているし、子どもが小学生になる友だちもいる。

渚も結婚願望がないわけではない。ただ相手がいないのだ。出会いがないのが原因の1つでもある。


「えー、小田さん。結婚するんですか?」


「あれ?早川さん、いつの間に…店長はどうしたの?」


佐和子はサワーが入ったグラスを持って、移動してきた。けれど、佐和子は1人残された峻の相手をしていたはずだ。


「トイレに行っちゃったから、こっちに来ちゃった。それよりも、いつ結婚式するんですか?」


峻よりも結婚話に興味があるようだ。


「まだいつとかは具体的に決まってないんだけど、秋にはしたいと思ってるよ」


「秋ですね!私も秋でしたよー」


「早川さんは、どこで式をあげたの?」


「私はですね、…」


佐和子は8年も前になる思い出を楽しく語り始めた。
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