最悪から最愛へ
答えは出ない。


「あはは。じゃ、俺は戻ります。ごゆっくりー」


紙コップをごみ箱に捨てて、出ていく。


「おー!お疲れー」


「お疲れさまー。小田くん、休憩終わり?」


「おう、じゃあな。ゆっくりしろよ」


小田は峻と渚だけになる休憩室で何か起こらないかと楽しみにした。小田と入れ替わりに渚が休憩室に入ってくる。


「あ…お疲れさまです」

峻がいると思わなかった渚は、低い声で挨拶して、隣のテーブルに座る。

休憩室には、6人用テーブルが2つと4人用テーブルが1つある。峻は真ん中にある6人用テーブルに座っていた。渚は出来るだけ離れたかったけど、隣のテーブルが一番遠いから、仕方なくそこに座ったのだ。


「お疲れさん」


スマホを操作しながら、チラッと渚を見る。渚は峻を見ようとしていないから、目は合わない。休憩室とはいえ、二人だけになるのはあの日以来だ。
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