最悪から最愛へ
「んー、確かに具合が悪いのに出てこいとは、言えないもんな。難しいところだな」


田中くんのことは二人の話し合いで、やっぱり様子見になった。遊んでいる現場をおさえない限り、注意は出来ない。


「では、失礼しました」

渚はやっと店長室から解放されて、ホッとする。言い争うことなく穏便に話が済んだのは、珍しいことだけど、何だか緊張したし、疲れていた。


「紺野、変な客が来たら、呼べよ。すぐに行くから」


「うん、お願いね」


小田も気にかけてくれる。頼もしい同僚である。守ってくれる人がいるのは、有難いことだ。

チーフであっても女。女だからなめられるけど、女だから助けてもらえる。複雑な気持ちになるけど、峻や小田の言葉に従うしかない。女の力では限界があるから。

女は損なのだか、得なのだか…微妙だなと思う渚である。


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