最悪から最愛へ
チーフという立場
渚を誘った小太りの客が今度いつ来るのかと、渚と共に峻や小田も警戒していたが、5日過ぎても姿を見せない。もう来ないかもしれない…こういうのは、油断すると来ることが多い。


「紺野さん、久しぶりだね。ちょっと仕事が忙しくて、ここに来れなかったんだよ。ごめんね、来れなくて」


やばい。ついにやってきた。


「いらっしゃいませ。久しぶりですね」


笑顔で挨拶をするものの、渚の心境は穏やかでない。何事もなく過ぎてくれることを祈るばかりだ。

この客が来たら、誰かを呼べと言われたけど、呼べる社員がいない。峻は休みで、小田は早番。副店長は、クレーム対応で客の家まで商品を届けに出たばかりである。


近くにいるレジ部門の男性スタッフは、今日ちゃんと出勤している田中くんだけだった。

峻は田中くんにも状況を説明して、もしもの時は助けるようにと話していた。渚もその時は、アイコンタクトするからとお願いしておいた。
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