最悪から最愛へ
閉店になり、渚は全てのレジの現金を回収して、事務室へ持って行く。締め作業を行う。コンピューター上の残高と一致するか確認をする必要がある。

誤差がないのが望ましいけど、どうしてもいくらかの誤差が出てしまう。預かりミス、お釣りの渡しミスなどが原因だ。自動精算のレジでも、少しの誤差が出るから不思議だ。

今日の誤差は800円。千円以下なら少ない方だ。

渚は現金を金庫にしまってから、パソコンに入力をする。


「整理、終わりましたー」


「田中くん、ご苦労様。それと、今日はありがとう。助かったわ」


「いえ。チーフ、もう終わります?」


「うん。終わったところ」


渚はパソコンの電源を落として、立ち上がる。


「飲んで行きませんか?」


「え?これから?」


「行きましょう。明日、休みでしょ?」


山口が知りたかった渚の休日を田中くんは、当たり前だけど、知っている。
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