うつくしいもの

「二人ともカッコいいでしょ?
一般募集で選んだんだよね。

准一と仁志は、菜々花ちゃんより2つ年上の二十歳」



「菜々花です」



ナナカ、そう自分の名前をはっきりと声に出した



私たちメンバーは全員初対面で、

近くに有ったパイプ椅子に座る事すら出来ないくらいに、相手に遠慮が有った


ずっと、私達は立ったまま話していた




私達は、プロフィールではフルネームは明かさないらしい


生年月日と血液型は明かすのに変なの、と思う



それを寺岡さんに言うと、


「バンドは1つの家族みたいなものだから、
下の名前だけで充分だと思う。

一人一人、違う名字を晒す必要もないじゃん」


そう言われ、そっかぁ、と妙に納得してしまう




1つの、家族



それが、なんか嬉しかった
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