うつくしいもの

「あ、そうじゃなくて……。

そうじゃなくて」



てっきり、優雅は自分がJUKEを抜けた事に対して
JUKEファンだった私がショックを受けているとか、

どう思っているのかを聞きたいのだと思ったが



違うんだ




「菜々花さんは、
俺よりも兄貴が好きだったの?」


その口調は責めるみたいで、

訊く迄もなくそれを知っているんじゃないのか?
って思ってしまう




「――JUKE、みんな好きでしたけど……。

私は涼雅が好きでした」




涼雅を好きだと口にすると、

今もまだ胸が疼くように痛んだ


いつ迄も治らない傷口のように、
ジクジクと――




終りが、
あのような終りだからか




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