うつくしいもの
「――菜々花の言いたい事も分かるけど……。
本気で好きじゃなきゃあ、そうか、って諦めた。
でも、俺……」
さらに強く、私を抱き締める
苦しいのに、安心してしまう
「あんな奴みたいに、俺は菜々花を傷付けないから。
あいつに女を見る目がないだけで、
俺や菜々花が
そんな風に卑屈になる必要なんてないから」
「――うん」
小学生の時以来かもしれない
こうやって身近な男の人を好きになった
涼雅の時に感じなかった、
この人が大切だ、とか、この人と居たら安心出来る
そんな風に、
男性を好きだと思う
憧れなんかじゃない