うつくしいもの

「菜々花は、興醒めするような事言うね?」



「だって……」



「無理矢理はしない。

菜々花が嫌なら辞めるけど?」


そう言って、私から寺岡さんは離れて、

ベッドに腰を下ろした




「菜々花が嫌ならしないけど。

優雅の為なら、どう?」



「――優雅?」



寺岡さんの言っている意味が、

よく飲み込めない



優雅の為って?



「今、菜々花が断っても、
そんな事で菜々花は手放す気はない。

だけど、優雅は違う」



「どう言う意味ですか?」



今迄、寺岡さんの笑顔は優しい天使のように見えていたけど、

今は違う



寺岡さんの笑顔は、
とても残酷な天使




悪魔じゃなく、

それが天使だから人は騙される




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