うつくしいもの
「――絶対に、優雅には言わないで下さい」
私はベッドに近付き、
その上に仰向けで寝転んだ
寺岡さんはそんな私の上に、
その身を乗せて来る
私は覚悟をするように、
目を閉じた
優雅は私が守る
彼を、傷付けたくないから
「ああ。言わないよ」
寺岡さんの唇が、私の唇を塞ぐ
それが嫌で、
振り払うように顔を背けてしまう
覚悟したはずなのに、
怖くて仕方ない
「一度だけだから。
一度菜々花の事を抱くだけだから。
我慢して」
そう言われても、
嫌で仕方なくて涙が溢れて来る
0と1との間の大きさを感じた
1と2との間の大きさとは違う