うつくしいもの

「――駄目だ。

こうじゃないのに…」


優雅はアコースティックギターを、
弦が切れるんじゃないかって思うくらいに、


強く掻き鳴らした




破壊的な音色が、
部屋に響く


それが、焦燥の叫びみたいに





優雅は落ち着いたのか大きな溜め息を吐くと、

ソファーに深くもたれている



自分の両手で顔を覆い、
煮詰まっているのが分かる




私はそれを、近くで見ているだけしか出来ない




声すら、掛けられない
< 193 / 373 >

この作品をシェア

pagetop