うつくしいもの

「――菜々花、ごめんな」


突然謝られて、
少し驚いてしまった


その優雅が謝る理由も分からなくて




「俺、別れる時酷い態度で。

最後くらい、もっと冷静に話し合えば良かった」



「ううん。

私の方こそ、傷付けてごめんなさい」



あれくらい、
酷いうちに入らないのに



本当なら、ひっぱ叩かれても、
私は文句なんか言えない




「頑張ろうな」


そう私の肩を叩いて、

優雅は私から離れて行った




話し掛けられた時、
少し期待した



優雅が、また私の元に帰って来てくれるんじゃないかって


けど、そうはならないみたい……




私から遠さがって行く優雅を追い掛けて、

よりを戻したいってすがり付きたい



だけど、嫌われる事が怖くて、

それが出来ない






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