うつくしいもの
「涼雅さん!」
前を歩く涼雅の背に声を掛けると、
驚いたようにこちらを振り返った
「ごめ…んなさい…」
彼に近寄り、
息切れしながらもそう言葉を発した
ごめんなさい……
「ああ」
そう言って、
踵を返して歩き出そうとする
「待って下さい」
涼雅の腕を掴み、
引き留めてしまう
「離せよ!
一体なんなんだよ」
「優雅は、あなたから何かを奪いたかったわけじゃない。
あの曲の事だって、今、優雅……」