うつくしいもの
「――痛いっ」
涼雅は床に倒れたまま、
右腕を押さえて顔を歪めている
後頭部からは大量の血が流れていて、
床を段々と赤く染めて行く――……
涼雅に手を伸ばし、
バランスを崩して階段から落ちそうになった私を、
涼雅は落ちないように私の体をこちらに押してくれた
その時、涼雅の方がバランスを崩して――
誰か来て――
そう思うのに、声が出ない
ごめんなさい
私、そんなつもりじゃ……
ごめんなさい……