うつくしいもの
「心配しなくても、兄貴は命に別状はない。
右腕と指の骨を何本か折ってるみたい。
後、頭を強く打って怪我してて……。
暫く、入院するみたい。
ほら、打った場所が場所だから?
MRIとか検査したり」
「――私のせいで。
あの人、階段から落ちそうになった私を助けようとして……」
私が涼雅を引き留めて無かったら
なんで、私は彼を追いかけてしまったのだろう……
「自分で勝手にバランスを崩して落ちた、って。
兄貴そう言ってた」
違う――
涼雅は、あの時私を助けてくれた
私を助けて、階段から
「嘘!
私のせいで……」
「どっちでもいいじゃん。
もし菜々花の言ってる事が本当だとしても、
兄貴が勝手に菜々花を助けて落ちたわけだろ?
べつに菜々花が突き飛ばしたわけじゃないだろ?」