うつくしいもの

「――俺の…ファンか?

俺…お前の事……知ってる…かも……。

よく、手紙…くれる子だっけ?」


ろれつの回らない口調で、
涼雅はそう言うが




「あっ、はい」


と話を合わせるように頷いたけど


私は涼雅に手紙を書いた事なんて、

1度もないのに




私を誰かと間違えていると言うより、

その手紙をくれる子の事も涼雅ははっきりと覚えていないのだろう




「こんな寒いのに待ってたの?
このカイロあげる。

手、赤くなってるから」


見た目も優しそうな健太は、

ダウンのポケットから出した使い捨てカイロを、私に手渡してくれた



それは新品で、
まだ袋に入っている





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