うつくしいもの
「あっ、お前、もう終電ないだろ?
じゃあ俺と一緒に行くか?」
涼雅は私の肩を抱いて、私を強引に歩かせる
その歩みはフラフラとしているから、
私も同じようにフラフラとしてしまう
「えっ?
行くって何処にですか?!」
私は目をパチパチとさせ、
今の状況に戸惑う
これはどう言う事なのでしょうか?と、
健太と泰治に目を向けた
「涼雅、何処に行くんだ?
カラオケに行くんだろ?」
そう問うのは、健太
「カラオケボックス、そっちじゃねーだろ?」
泰治がそう言うと、
涼雅は、うるせーな、と二人の方を向く
「カラオケなんか、お前ら二人で行けよ!
俺はライブで散々歌ったんだから、いいし。
喉、カラカラ」
そう言って強く私の肩を抱くと思い出したように、
再び彼らの方を見る
「健太、悪いけど、俺のギター持って帰ってて。
明日、バイト終わりにお前の家に取りに行くから?」