うつくしいもの

首筋を舐められて、
声が漏れた




「――菜々花」


そう耳元で呼ばれて、

歌声だけじゃなくて、
その声も彼は涼雅に似ていると思った



そして、二人の話す声は、寺岡さんに似ていなくて良かったと思った




何も邪魔するものはなくて、
私と秋原さんはそのまま一線を越えた



いつも私と優雅が座っていたこのソファーで、
秋原さんとセックスをした



そして、私と優雅が毎晩一緒に眠っていたベッドで、
秋原さんと朝迄一緒に眠った




秋原さんと関係を持ったのは、その1度だけ


その後、幾度となく会いたいと言われる事はあったけど、
理由を付けて断っていた







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