うつくしいもの

「あの時、写真撮られなくて良かったよな?」


そう言って、秋原さんは笑うけど、

私はもしそうなっていたら、と想像して
怖くなってしまう



もし、そうなっていたら、
今度はなにもないなんて事はないので、

優雅は絶対に私の元には戻って来てくれなかっただろう




「あの時、俺としたのは、少しは俺に気持ちは有った?」



「――あるわけないじゃないですか。
私、秋原さんの事そんなに知らなかったですし。

今だって、よく分からない」



秋原さんは大人で、何を考えているのか本当に分からない



あの夜、一晩中ベッドの中で色々と話したけれど、
音楽の話ばかりだったし



だけど、とても優しい人なんだとは、分かるけど





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