うつくしいもの
「明日って、夜からスタジオで練習じゃんか!
どーせ、後からついでだからそこに持って来いって言うんだろ?」
健太は、諦めたように溜め息を付いた
「健太君は優しいから、愛してる」
涼雅のその愛の言葉を、
はいはい気を付けて、
と健太は受け流す
泰治はそんな二人のやり取りを
我関せずと言う感じで、
取り出したスマホをいじり出している
「じゃあ、行くか!」
「――は、はい!」
何処に行くのだろうか分からないが、
涼雅に連れて行かれるままに歩く
この状態に戸惑い過ぎるけど……
今、とても幸せなのだと思う
遠いはずの涼雅が、
こんなにも近くに居る