うつくしいもの

「ただの事故でしょ?

どーせ、深酒して気分良くなってふらふらと道路に飛び出したんでしょ?
轢いた相手の方が気の毒だよ。

あの人、本当に最後の最後迄、家族に迷惑を掛けてくれるよ。
俺、明日ライブなのに、今から病院行かなきゃいけないし。
寝れないじゃんか。

最悪……」



「そんな言い方、酷いんじゃ……」


そう言って、優雅の顔を見ると
その目に涙が溜まっていて、
それを隠すように俯いた





「――何日か前に兄貴から電話があって、

実家の兄貴の机の引き出しにUSBメモリーが入ってて、それ、やるって電話があった」


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