うつくしいもの
◇
「あの~。
一体、何処に行くんですか?」
「ん?
まぁ、楽しい所」
そんなやり取りで涼雅に連れて来られたのは、
バーから歩いて10分くらいの所に有る、
ラブホテル
そのラブホテルの外装はちょっと寂れているが、
建物の中は外観よりかは綺麗だった
下が少しだけ開いて作られた白い磨りガラス越しに、
おばちゃんの口が動くのが見える
「――泊まり料金だから、5千円前金でお願いします」
「俺、3千円出すから、2千円出して?
全部奢ってやりたいけど、今金欠で。
昨日、スロットで負けて…」
「あ、はい」
私は鞄の中から慌てて財布を取り出して、
その中から2千円を取り出し涼雅に渡す