うつくしいもの
「――お疲れ様です。
今日のライブ良かったです……。
その、あの……」
後は何て言えばいいのだろうか?と、
焦る
頭の中に有った台詞が、
一気に飛ぶ
今の涼雅と私の間にあるこの空気が怖くて、
足だって震えてくる
近くに居た健太と目が合ったが、
彼は私の事を覚えてくれていたのか、
あっ、って顔をして笑ってくれた
私は笑い返せる余裕なんてなくて、
無言で会釈をする
「つーか、お前誰だよ?
何しに来たわけ?」
耳を疑うような冷たい声で、
涼雅はそう言った
周りに居た涼雅のファンの子達がみんな私を見ているから、
それは私に言われているのだと思う