言えない言葉
「遅れて、ごめんね?」
あたしが、焦ってそう言うと、
「あぁ、だいじょーぶ」
と、彼は言ってくれた。
彼の名前は、本田 瑞樹(ほんだみずき)。
あたしは、ミズ君って呼んでる。
「じゃ、いこか?」
ミズ君がそう言うと、
あたし達は一緒に歩き始めた。
「何の映画観るんだっけ?」
あたしに、聞くミズ君。
「えぇ~?ミズ君忘れたのぉ??」
「ゴメッ! 忘れたわ」
「ヒド~い! だから!!これッ!」
そう言って、今人気の恋愛映画を
指で差した。
「え!?!? これだっけ?」
「そうだよぉ~」
ミズ君があまりにも、驚いたから
あたしは膨れて言い返した。
「そ、そっか… じゃ、観よな」
ミズ君がそう優しく答えると、
あたしの膨れてた頬も、なくなった。