言えない言葉
それから、観終わって。
劇場から出てくると、
あたしはわんわんと子供のように
泣いていた。
それを、ミズ君は優しく
抱き寄せてくれていたんだ。
「ご…ごめッ…んね……」
あたしがそう言うと、
ミズ君は、
「良いよ…あの映画…感動ものだな」
といってくれた。
「ミズ君…あの映ッ…画のッ…
こ…と、わかって…
くれッ…たん…だ?」
泣きながら、必死に言ったあたしを
ミズ君は涙を拭ってくれた。
少しして、公園に向かったあたし達は
今の暗さにやっと気付いた。
時刻は、もう5時を過ぎている。
今の季節は冬だから、
この時間でもとっても暗い。
二人で公園のはしにある、
ベンチに座った。
「どう?…大丈夫か?
泣き止んだ?」
ミズ君がそう心配してくれると、
あたしの心はそっと、
優しさで包まれる。
「う…うん! もう、大丈夫」
そう、微笑むと何故かミズ君は
黙ってしまった。
「?…ミズ君?
どうしたの…?」
そう聞くと、ミズ君は下を向いてしまった。