言えない言葉
俺が諦めようとした瞬間、
雨祢は俺の言葉に割り込んで
言った。
俺はその言葉に驚いて、
目を見開いて、言った。
「え?…おまッ…
あぁ?? 何を…!?」
と…。
「だから…だから…
キ…キ…キス!!!」
雨祢は自分なりに精一杯の
声を出した感じだったけど、
俺には小さく聞こえた。
「本気で言ってんのか?」
って…待て…。
俺まで、なんか焦ってどうするんだよ。
たかが、キスだぞ?
今まで、何回もしてきただろ?
でもな…雨祢が相手となると…
「ミズ君…あたし…
本気だってば…して?」
雨祢はそう言うと、
下を向いていた顔を
上げ、俺を見上げた。