真夜中の魔法使い
「はあ〜精神力か。アキはどうやって鍛えたの?」
杖を机の上に置いて、自分は椅子に落ち着いた。
『ーーそうだなあ、無になる訓練は長いことしてた。』
「無になる?無心ってこと?」
『ーーうん。その通り。
感情は大体において術のエネルギーを散乱させてしまう。』
「だからさっき、かかったと思ったのにうまく行かなかったんだね。」
『ーーそう。術が複雑になればなるほど、たとえば対象がヒトのときには、密度の濃いエネルギーが必要になる。
大抵の人はこれを意識せずにいて問題ないけれど。ある一定以上の術を操る人たちには精神力が求められるんだ。』