真夜中の魔法使い
「え、ミユウごめん。飛行術苦手なの?」
アキは慌てて椅子から飛び上がってミユウに近寄る。
「・・そうじゃなくて。」
「それじゃあ・・?」
「高いところが苦手なの・・!」
「えっ・・そ、そっかあ・・」
アキの声が心なしか震えているのは気のせいではないだろう。
ミユウはキッとアキを睨みつけ、杖を向ける。
「ごめんごめん。怖くないから、さ。」
「聞いてなかったの?私は高いところがっ・・」
目をしかめて杖の狙いを定める。
「だーいじょうぶ。暗いから高さなんてわからないよ。」
それでもアキは動じずに、さらに近づいて手を差し出した。