真夜中の魔法使い
「ミナトも帰ってきたことだし、今日はこの辺にしておこうか。」
ミユウの心中を知ってか知らずか、ナツキさんはテーブルに広げていた勉強道具を片付け始めた。
「あっ、ありがとうございました」
慌てて片づけを手伝っていると、ミナトが戻ってきた。
どうやらコートと荷物を部屋に置いてきたようだ。
「お茶、入れ直そうか?」
「ううん、お気遣いなく。もう帰るから。」
そのままキッチンに入っていこうとしたミナトを引き止め、ナツキさんは席を立った。
「そうか。」
「楽しかったです、ありがとうございました。」
2人で玄関まで送ると、ミユウはもう一度お礼を言った。
「私も楽しかったわ。また来週。」
ナツキさんは何歩か歩いてそのまま音もなく転移していった。