真夜中の魔法使い
クリスマスの脱走
準備
「ナツキの授業は楽しかった?」
二人で、といっても料理をしたのはほとんどミナトだが、支度した夕飯を食卓に並べると、向かい合わせで席に着く。
一緒に食卓を囲む家族が二人になってから久しい。
「うん、楽しかったし、ためになる。」
「そうか。」
ミナトは満足そうにシチューを口に運んだ。
ちょっぴり具が大きめのシチューはミナト特製のものだ。
「母の味」を忘れかけているミユウにとっては、ミナトの料理が一番心温まるものだった。
「明日の課題は何にしようか。」
ミユウが課題を出してほしがったせいか、いつも以上に気合の入った様子である。
自分で言っておきながらあまり面倒なものは頂けない、と苦笑を漏らす。
「お兄ちゃんは、どんな風に勉強していたの?お父さんに習っていたでしょう?」
お兄ちゃんやアキはお父さんから魔法の手ほどきを受けていたけれど、私だけお父さんがどんな風に教えていたのか知らないのだ。