真夜中の魔法使い
ひとつの真実
何かが引っかかっていた。
記憶の奥の方でモヤモヤとした部分がある。
作業場となっていた自室を片付けながらも、引っ掛かりは解消されないままだ。
「なんだろう・・ナツキさんの授業で宿題とか出てたかな?」
それなら忘れるはずはない、と思う。
「アキ、聞こえる?」
「ーーー」
「はあ、ダメか。」
連絡が取れなくなってからどれくらいだろうか。
「クリスマスの飾り付けをしたの。
アキにも見せてあげられたら良かったんだけど・・。
アキは豪華なクリスマスに慣れてるかもしれないけど、うちでは久しぶりなんだ。」
聞いていないとわかっていてもつい話てしまうのはこれまでのクセなのだろうか。
月下美人のビンにも銀色に輝くリボンを結んで、ささやかにデコレーションしてみた。
ツン、と瓶をつつくと、中の花びらがくるりと回った。
「次はいつ、会えるかな。」