真夜中の魔法使い
「アキ、私が注意を引きつけるから。
その隙に、頑張って、
アキ、アキはお父さんの弟子なんでしょう?
出来るよね?
呪いなんかに、負けないよね?」
『ーーははっ・・
そうだね。
こんなんじゃあ、リョウヤさんに怒られちゃうね。』
「アキ。今から向かうから。
30分で、決着をつけよう。」
『ーーほんとは・・「いい?言う通りにしてね?」』
『ーー分かったよ。
ただミユウ。外は寒いから、コートとマフラーを忘れないで。』
「うん。わかった。」
『ーーいい子だ。』
こんな時まで悠長な、と思ったけれど、迫力に押されて頷いてしまった。
こっちが言いくるめることができたと思っていたのに。
でも、アキの声に力が込もってホッとしたのも事実だった。
アキが希望を失わなければ。
本気を出せば。
チャンスは巡ってくるかもしれない。