真夜中の魔法使い
「コート、マフラー!」
杖を振るのももどかしく、乱暴に物を呼び寄せる。
詠唱破棄とも違う、この魔法の使い方を突然出来るようになった理由は分からない。
分からないけれど出来るという自信はどこから来るのだろうか。
ミユウ自身全く分からなかった。
「ミユウちゃん、どういうことなの?」
まるで自ら意思を持ってやってきたかのように現れた、コートとマフラーを先に掴んだのは、ナツキさんだった。