真夜中の魔法使い
「これはやり直さないと・・・」
なんだってこんな眩しい飾り付けをしてしまったのだろうか。
どうやらリビングで寝てしまっていたようだった。
もそもそと起き上がろうとするが、音もなく突然現れた影に遮られてしまう。
「わっ」
「目が覚めた?」
突如現れた影はミナトだった。
「お、お兄ちゃん・・音も立てずに現れないでよ!」
驚いてバクバクいっている心臓の辺りを押さえる。
「ああ、なんかクセになってしまって。それもこれもミユウのせいだからね。
全く・・」
やれやれ、といった感じで額に手を当てるミナト。
そんな兄の様子見て、ミユウはいつか能力を買われて戦争に利用されてしまうのでは、という突拍子のない心配をしてしまった。
クセと言ってしまうほど簡単に気配を消してしまえるなんて、恐ろしい兄である。
「まあまあ、起きていきなりお説教なんて嫌よねえ」
ミユウの思考を中断させたのは、明るいナツキさんの声だった。
身体をゆっくりと起こし、声のする方へ顔を向けると、ナツキさんはテーブルに座ってお茶を入れていた。
「あっ・・」
その瞬間、脳裏を貫くものがあった。
当然の様にミナトが背中を支えてくれたけれど、お礼の言葉は何処かへ飛んでしまった。