真夜中の魔法使い
ナツキさんとミナトの顔を見比べて、自分がなぜ眠ってしまったのか、事の顛末が全て蘇ってきたのだ。
「アキは?」
「はあ・・少しは自分の心配もしたらどうなんだい?」
ソファーの端に腰掛けたミナトは心底呆れた、といった表情をしている。
「ふふふ、そんなに好きなのねえ!」
一方でナツキさんはニヤニヤ顏である。
「「そんなことない!!」」
見事なハモりをみせたミナトとミユウ。
「あらあら、2人して必死になっちゃって。そっくりね。」
ナツキさんも、お兄ちゃんも、巻き込んでしまって申し訳ない。けれど一先ずつっ込まずにはいられなかった。
「な、なんでお兄ちゃんまで!」
「ミユウ、あいつのどこがいいんだ?」
勢いよく振り返ったものの、見事なスルーによって気力を削がれてしまう。
「待って、なんでそんな話になってるの!?」
ちょっと前まで倒れて気を失っていたミユウが、元気よく兄妹喧嘩をしている様子を見て、ナツキは目を細めて笑っていたのだった。