真夜中の魔法使い
「アキ君は2階で寝てるわよ。」
ミナトはまだまだ言いたいことがありそうだったが、ナツキさんが助け舟を出してくれた。
「あ、ありがとうございます!わたし、「でも、」」
「行っちゃダメよ。ミユウちゃんもしっかり休まなくちゃ。」
キリッとした瞳に囚われてしまえば、素直に従うしかない。
家を出る時に失礼な態度をとってしまった負い目もある。
「・・・はーい」
「さあ、2人とも、暖かい紅茶を飲んで。アキ君は私が様子をみてくるわ。」
立ち上がるとくらり、と目眩がした。
すかさず支える腕をたどっていくと心配そうな兄の顏。
大したことない、と苦笑いを見せてダイニングテーブルに向かった。
2人が席に着いたことを確認したナツキさんは2階へ上がって行った。